偶力とは、平行かつ同じ大きさで反対方向の二つの力ベクトルが作る力のモーメントのことです。
偶力は、物体に回転を生じさせますが、重心の並進運動を引き起こしません。
\(\boldsymbol{F}\)と\(-\boldsymbol{F}\)で構成される偶力\(\boldsymbol{M}\)は、\(-\boldsymbol{F}\)の始点から\(\boldsymbol{F}\)の始点に引いた位置ベクトルを\(\boldsymbol{d}\)とした場合、外積を用いて、以下のように表せます。
\[\boldsymbol{M}=\boldsymbol{d}\times \boldsymbol{F}\]
なお、偶力は、力のモーメントの中心点\(O\)を任意の位置にした場合に、\(\boldsymbol{F}\)の力のモーメント\(\boldsymbol{r}_1 \times \boldsymbol{F}\)と\(-\boldsymbol{F}\)の力のモーメント\(\boldsymbol{r}_2 \times -\boldsymbol{F}\)を足し合わせたものと一致します。
\[\boldsymbol{d}\times \boldsymbol{F}=\boldsymbol{r}_1 \times \boldsymbol{F}+\boldsymbol{r}_2 \times -\boldsymbol{F}\]
例えば、以下は、偶力によって回転運動する物体です。赤いベクトルが偶力を生む力ベクトル、青い点は重心です。
物体に加える.力.の合力ベクトルがゼロベクトルで、力のモーメントの総和がゼロベクトルではないとき、偶力が生じます。
例えば、以下は、3つの.力.の合力ベクトルがゼロベクトルであり、力のモーメントの総和がゼロベクトルではないので、偶力が生じます。
この場合、以下のように力ベクトルを分解すると、分かりやすいです。
青の.力.は、合力ベクトルも力のモーメントの和もゼロベクトルです。よって、物体に対して、何も影響を与えないので青の.力.を削除して、緑の.力.のみ残します。
二つの緑の力を一つの力ベクトルで置き換えます。
この場合、二つの赤い力ベクトルは足し合わせるとゼロベクトルであるため、同じ大きさです。よって、二つの赤い力ベクトルは、平行かつ同じ大きさで反対方向なので偶力を生む力ベクトルとなります。
物体に働く.力.は、偶力を生む二つの力ベクトルと物体の重心を並進運動させる力ベクトルに分解することができます。