導体を流れる電流の速度v [___m/s__]は、電流をI [___A__]、電気素量をe [___C__]、1 ___m__^[3]]体積当たりの自由電子の数をn、導体の断面積をS [___m__^[2]]]とした場合、以下のように表せます。
v=I/enS
導体を流れる自由電子は、電気抵抗の影響により、平均して一定の速度で進みます。その速度が電流の速度となります。
導体を流れる電流の速度がv [___m/s__]だった場合、1秒間に自由電子が進む平均距離は、以下のようにvになります。
よって、導体の断面積をS [___m__^[2]]]とすれば、上記の区間の導体の体積は、vSとなります。さらに、1 ___m__^[3]]当たりの自由電子の数をnとすると、上記の区間に含まれる自由電子の数は、nvSとなります。
電気素量をe [___C__]とすると、自由電子の電荷はーeなので、上記の区間に含まれる電気量の絶対値は、envSとなります。
このenvSが電流の大きさなので、これをI [___A__]と置くと、以下になります。
I=envS
vを左辺にして整理すると、冒頭の式を導出できます。
銅の導体を流れる電流の速度は、導体の断面積を1 ___mm__^[2]]、電流を1 ___A__とした場合、約0.074 ___mm/s__となります。
これは1cm進むのに135秒掛かる速度なので、導体を流れる電流は非常に低速であることが分かります。
なお、この場合、銅の原子1個当たりに1個の自由電子があるとします。
v=I/enSを計算すれば良いので、それぞれの値を代入します。
まず、I=1 ___A__、S=1 ___mm__^[2]]=10^[ー6]] ___m__^[2]]です。電気素量eは、約1.60×10^[ー19]] ___C__です。
銅の原子量は63.546なので、1mol当たりの銅の質量は63.546 g(モル質量)となります。銅の密度が8.94×10^[6]] ___g/m__^[3]]だった場合、これを銅のモル質量で割ると、約1.41×10^[5]] ___mol/m__^[3]]となります。
アボガドロ定数より、1mol当たりの粒子の数は、約6.02×10^[23]]なので、銅の1 ___m__^[3]]当たりの原子の数は、8.49×10^[28]]個となります。よって、n=8.49×10^[28]]です。
v=I/enSを計算すると、約0.074 ___mm/s__となります。
電流の変化が伝わる速さは、光の速度と同じです。電場が伝わる速さが光の速度であるためです。
例えば、ある導体に1Aの電流を流した際の電流の速度が0.074 ___mm/s__だった場合、適当な自由電子が1m進むのに225分程度掛かります。
その際、電流を2Aにすると、適当な自由電子が1m進むのに掛かる時間は112.5分ですが、1m先で1Aが2Aに変化するまでの時間は、約3.3×10^[ー9]]秒しか掛かりません。