離散フーリエ変換における回転因子

離散フーリエ変換において、回転因子とは、離散フーリエ変換\(X[k] = \displaystyle\sum_{n=0}^{N-1} x[n] e^{-i2\pi\frac{k}{N}n}\)に含まれる\(e^{-i2\pi\frac{k}{N}n}\)のことです。

\(e^{-i2\pi\frac{k}{N}n}\)は、オイラーの公式を用いた極形式で表現された複素数です。

よって、回転因子は、複素平面上の単位円を角度で\(N\)分割した\(\displaystyle\frac{2\pi}{N}\)を1ステップとして、\(kn\)ステップ回転させた複素数と言えます。

例えば、\(N=8\)のとき、複素平面上の単位円は、以下のように\(N\)分割され、\(kn\)を変化させると、複素数は、以下のように回転します。

また、回転因子は、\(W_N^{kn}\)と表すことができます。

\(W_N^{kn}\)を使って、\(N=8\)の回転因子を\(0\leq kn < N\)の範囲で表記すると以下になります。

回転因子の周期性

回転因子は、1回転すると元の位置に戻ります。よって、\(N=8\)のとき、以下の組み合わせは、同じ位置にあります。

\[kn=0, 8, 16, \cdots\]

\[kn=1, 9, 17, \cdots\]

\[kn=2, 10, 18, \cdots\]

\[kn=3, 11, 19, \cdots\]

\[kn=4, 12, 20, \cdots\]

\[kn=5, 13, 21, \cdots\]

\[kn=6, 14, 22, \cdots\]

\[kn=7, 15, 23, \cdots\]

\(kn\)\(N\)で割って余りを求めれば、\(kn\)\(0\sim N-1\)の範囲に収めることができます。

回転因子の対称性

\(N\)が偶数の場合、回転因子に\(-1\)を掛けると、その回転因子は、原点に対して対称の位置に移動します。

例えば、\(-W_8^1=W_8^5\)です。

回転因子は複素数なので\(-1\)を掛けると、実部も虚部も反転するため、この対称性が現れます。