回折とは、.波.が障害物やスリット(細い隙間)を通過する際に、その進行方向が変化し、.波.が広がる現象のことです。
例えば、以下は、黒線で示したスリットで.波.が回折している様子です。
なお、上記では、.波.が障害物に衝突した際、反射していませんが、実際には反射します。以降の説明でも反射した.波.は省略します。
例えば、以下は、スリットの幅と入射波の波長を同程度にしたものです。
なお、.波.がスリットを通過後、入射波と同程度の振幅である場合、.波.を赤色にしています。
一方、以下は、スリットの幅よりも入射波の波長を短くしたものです。
先ほどと比べると、赤色の部分の回折の程度が小さくなりました。ただし、障害物付近でも少し回折しています。そして、赤色の扇形の両側には、.波.の振幅が小さい領域もあります。
また、以下は、スリットの幅よりも入射波の波長を長くしたものです。
この場合は、全体に回折しています。
これらの例から分かるように、スリットの幅よりも入射波の波長を長くすればするほど回折の程度が大きくなります。
回折は、ホイヘンスの原理により説明できます。
例えば、以下は、スリットの幅よりも入射波の波長が十分長い場合において、スリットで生じる二次波の波面を描いた様子です。
それぞれの二次波の位相が比較的合っているため、二次波は強め合い、全体に回折します。
一方、以下は、スリットの幅と入射波の波長を同程度にした場合において、スリットで生じる二次波の波面を描いた様子です。
障害物の付近において、二次波の位相が等間隔に並んでいます。この場合、障害物の付近では、二次波は打ち消し合い、回折しません。ただし、障害物から離れていくと、二次波の位相が合ってくるため、回折の程度が大きくなっていきます。
また、以下は、スリットの幅よりも入射波の波長が十分短い場合において、スリットで生じる二次波の波面を描いた様子です。
二次波の位相の分布が一様である箇所は、二次波が打ち消し合い、回折しません。一方、二次波の位相の分布にムラがある箇所は、その程度に応じて、回折の程度が決まります。
障害物が片側のみの場合、二次波は、その半径が大きくなるに従って弱まっていくため、スリットの幅は、有限と考えられます。
例えば、以下は、障害物が片側のみの場合において、二次波がその半径に従って弱まっていく様子です。
二次波の位相の分布にムラがあるため、回折が生じます。
なお、障害物が片側のみの場合も入射波の波長が長い方が回折の程度が大きくなります。