レンツの法則

磁束が導体を貫いて通過するとき、磁束の通過を妨げるような磁場となる誘導電流が流れます。これをレンツの法則と呼びます。

例えば、以下のように青線で示す一様な磁場に対して垂直方向に導線を相対的に動かすと、電磁誘導により、赤線のように誘導電流が流れます。

このとき、電流が一様な磁場から受ける力は、フレミングの左手の法則より、導線が動く方向とは逆方向になり、導線の動きを止めようとします。

一様な磁場に対して相対的に導線の動きが止まると、磁束は導線を通過しないので、レンツの法則に従う挙動になっています。

以降では、ソレノイドに磁石を近づけたり遠ざけたりした場合、どのようにレンツの法則に従うのかを説明します。

N極が近付く場合

ソレノイドにN極を近付けると、ソレノイドが束ねる磁束がΔΦ増えたとします。

すると、そのΔΦを打ち消すーΔΦの磁束をソレノイドが束ねるように赤矢印の誘導電流が流れます。

円形に流れる電流が作る磁場から分かるように、誘導電流がソレノイドに作る磁場は、N極を弾き返す磁場となります。よって、磁束の通過を妨げるような磁場となっているので、レンツの法則に従っています。

なお、このとき、誘導起電力の向きを電位が高い方から低い方とした場合、マイナスの誘導起電力となります。

N極が遠ざかる場合

ソレノイドからN極を遠ざけると、ソレノイドが束ねる磁束がΔΦ減ったとします。

すると、そのΔΦを補う磁束をソレノイドが束ねるように赤矢印の誘導電流が流れます。

円形に流れる電流が作る磁場から分かるように、誘導電流がソレノイドに作る磁場は、N極を引き寄せる磁場となります。よって、磁束の通過を妨げるような磁場となっているので、レンツの法則に従っています。

なお、このとき、誘導起電力の向きを電位が高い方から低い方とした場合、プラスの誘導起電力となります。

S極が近付く場合

ソレノイドにS極を近付けると、ソレノイドが束ねる磁束がーΔΦ増えたとします。

すると、そのーΔΦを打ち消すΔΦの磁束をソレノイドが束ねるように赤矢印の誘導電流が流れます。

円形に流れる電流が作る磁場から分かるように、誘導電流がソレノイドに作る磁場は、S極を弾き返す磁場となります。よって、磁束の通過を妨げるような磁場となっているので、レンツの法則に従っています。

なお、このとき、誘導起電力の向きを電位が高い方から低い方とした場合、プラスの誘導起電力となります。

S極が遠ざかる場合

ソレノイドからS極を遠ざけると、ソレノイドが束ねる磁束がーΔΦ減ったとします。

すると、そのーΔΦを補う磁束をソレノイドが束ねるように赤矢印の誘導電流が流れます。

円形に流れる電流が作る磁場から分かるように、誘導電流がソレノイドに作る磁場は、S極を引き寄せる磁場となります。よって、磁束の通過を妨げるような磁場となっているので、レンツの法則に従っています。

なお、このとき、誘導起電力の向きを電位が高い方から低い方とした場合、マイナスの誘導起電力となります。