集合において、位相とは、以下の条件を満たすある全体集合の部分集合の.族.のことです。
条件1:その.族.に属する任意の有限個の部分集合の共通部分もその.族.に含まれる。
条件2:その.族.に属する任意の個数(無限個でも良い)の部分集合の和集合もその.族.に含まれる。
条件3:空集合と全体集合は、その.族.に含まれる。
これらの3つの条件は、位相の公理と呼ばれます。
部分集合の選び方で様々な位相を定義できます。位相によって、位相を成す部分集合の性質が変わります。
そして、特定の位相を用いて、数学的な検証を行います。
位相は、非常に柔軟性があり、すべての位相に意味がある訳ではありません。適切に作られた位相において初めて数学的な価値が生まれます。
位相を成す部分集合の共通部分は、位相の局所的な構造を表しています。有限個にしている理由は、位相が局所的な構造を持つことを保証するためです。
無限個の部分集合の共通部分を許容した場合、共通部分は点に収束したりなど、局所的な構造として扱えない極端に小さな部分集合になる場合もあり、位相が持つ局所的な構造に対して、一貫性を保てません。
よって、有限個である必要があります。
なお、空集合も部分集合ですが、空集合は要素を持たないため、局所的な構造としては扱いません。
無限個を許容する理由は、位相の表現力に制約を与えないためです。
条件1と条件2を成り立たせるために便宜上必要な条件です。
以下は、位相を成す部分集合の集合の例です。
\[\{\varnothing, \{a, b, c, d\}\}\]
\[\{\varnothing, \{a, b, c, d\}, \{a\}\}\]
\[\{\varnothing, \{a, b, c, d\}, \{a\}, \{b\}, \{a, b\}\}\]
\[\{\varnothing, \{a, b, c, d\}, \{a, b\}, \{b, c\}, \{b\}, \{a, b, c\}\}\]
これらは、位相の公理を満たす実例であり、特に何か意味がある位相ではありません。
以下は、位相を成さない部分集合の集合の例です。
\[\{\varnothing, \{a, b, c, d\}, \{a\}, \{b\}\}\]
\[\{\varnothing, \{a, b, c, d\}, \{a, b\}, \{b, c\}, \{b\}\}\]