Z領域の伝達関数とは、離散時間システムのインパルス応答のZ変換のことです。
入力信号のZ変換の結果とZ領域の伝達関数を掛けることでZ領域で離散時間システムにおけるインパルス応答の畳み込みを行えます。
また、Z領域の伝達関数を使って、離散時間システムの周波数応答を調べられます。
ある離散時間システムにおいて、入力信号のZ変換を\(X(z)\)、出力信号のZ変換を\(Y(z)\)とした場合、Z領域の伝達関数\(H(z)\)は、以下の式で求められます。
\[H(z)=\frac{Y(z)}{X(z)}\]
Z変換は、フーリエ変換を基礎としているため、フーリエ変換によるインパルス応答の畳み込みが可能であり、以下の式が成り立ちます。
\[X(z)H(z)=Y(z)\]
両辺を\(X(z)\)で割ることにより、Z領域の伝達関数\(H(z)\)を導出できます。
ある離散時間システムのZ領域の伝達関数を\(H(z)\)とした場合、その離散時間システムの周波数応答は、\(z\)を\(e^{i2\pi \hat{f}}\)にして、元の離散時間フーリエ変換に戻した\(H(e^{i2\pi \hat{f}})\)です。
\(H(e^{i2\pi \hat{f}})\)の絶対値が振幅の周波数応答、\(H(e^{i2\pi \hat{f}})\)の偏角が位相の周波数応答です。
インパルス応答の畳み込みによる周波数領域での複素スペクトルの変化より、\(H(e^{i2\pi \hat{f}})\)は、離散時間システムの周波数応答と言えます。