実数の離散時間信号の離散時間フーリエ変換による複素スペクトルの実部は、以下のように偶関数になります。
実数の離散時間信号の離散時間フーリエ変換による複素スペクトルの虚部は、以下のように奇関数になります。
つまり、実数の離散時間信号の離散時間フーリエ変換による複素スペクトルを\(X(\hat{f})\)とした場合、\(X(-\hat{f})\)は、\(X(\hat{f})\)の共役複素数です。
\[\overline{X(\hat{f})}=X(-\hat{f})\]
また、離散時間フーリエ変換の周期性を加えると、\(0\leq \hat{f}< 1\)の範囲で\(X(\hat{f})\)の実部は、\(\hat{f}=0.5\)を対称軸とした線対称になります。
同様に、\(X(\hat{f})\)の虚部は、\(\hat{f}=0.5\)を中心とした点対称になります。
よって、\(0\leq \hat{f}< 1\)の条件で、\(X(1-\hat{f})\)は、\(X(\hat{f})\)の共役複素数と言えます。
\[\overline{X(\hat{f})}=X(1-\hat{f})\]
なお、複素数の離散時間信号の離散時間フーリエ変換の場合は、上記の対称性は現れません。
まず、離散時間フーリエ変換の式を準備します。
\[X(\hat{f}) = \sum_{n=-\infty}^{\infty} x[n] e^{-i2\pi \hat{f}n}\]
\(x[n]\)が実数の離散時間信号であれば、\(X(\hat{f})\)の共役複素数は、以下になります。
\[\overline{X(\hat{f})} = \sum_{n=-\infty}^{\infty} x[n] e^{i2\pi \hat{f}n}\]
右辺は、\(X(-\hat{f})\)です。
よって、証明できました。