連立1次方程式の解空間とは、同次連立1次方程式の全ての解を集めた集合のことです。
同次連立1次方程式を以下のように行列で表した場合、解となるベクトル\(\boldsymbol{x}=\begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \\ \vdots \\ x_n \end{bmatrix}\)の集合が連立1次方程式の解空間です。
\[\begin{bmatrix} a_{11} & a_{12} & \cdots & a_{1n} \\ a_{21} & a_{22} & \cdots & a_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{m1} & a_{m2} & \cdots & a_{mn} \end{bmatrix}\begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \\ \vdots \\ x_n \end{bmatrix}=\begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ \vdots \\ 0 \end{bmatrix}\]
そして、連立1次方程式の解空間は、ベクトル\(\boldsymbol{x}\)が属するベクトル空間の部分ベクトル空間になります。
この解空間は、ベクトル空間なので、解同士の足し算や解のスカラー倍もまた解となります。
同次連立1次方程式の係数行列を\(A\)とした場合、同次連立1次方程式は、以下のように表せます。\(\boldsymbol{0}\)は、ゼロベクトルです。
\[A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}\]
ベクトル\(\boldsymbol{u}\)と\(\boldsymbol{v}\)が解空間に属すると仮定すると、以下が成り立ちます。
\[A\boldsymbol{u}=\boldsymbol{0}\]
\[A\boldsymbol{v}=\boldsymbol{0}\]
このとき、\(A(\boldsymbol{u+v})\)を考えると、以下が成り立ちます。
\[A(\boldsymbol{u+v})=A\boldsymbol{u}+A\boldsymbol{v}=\boldsymbol{0}+\boldsymbol{0}=\boldsymbol{0}\]
よって、\(A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}\)を満たし、\(\boldsymbol{u+v}\)も解空間に属します。
次に、\(A(c\boldsymbol{u})\)を考えると、以下が成り立ちます。
\[A(c\boldsymbol{u})=cA\boldsymbol{u}=c\boldsymbol{0}=\boldsymbol{0}\]
よって、\(A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}\)を満たし、\(c\boldsymbol{u}\)も解空間に属します。
これらの事から解空間に属するベクトルもまたベクトル空間を成し、連立1次方程式の解空間は、ベクトル\(\boldsymbol{x}\)が属するベクトル空間の部分ベクトル空間と言えます。