デジタル積分回路とは、離散時間システムにおいて、入力信号を\(x[n]\)、出力信号を\(y[n]\)とした場合、以下の式で表される演算のことです。
\[y[n]=x[n]+y[n-1]\]
デジタル積分回路は、入力信号の累積和を出力します。
また、デジタル積分回路は、入力信号\(x[n]\)のZ変換を\(X(z)\)、出力信号\(y[n]\)のZ変換を\(Y(z)\)、\(y[n-1]\)のZ変換を\(Y(z)z^{-1}\)とした場合、Z変換の線形性よりZ領域で以下のように表せます。
\[Y(z)=X(z)+Y(z)z^{-1}\]
図にすると、以下です。
デジタル積分回路の伝達関数*\(H(z)\)は、以下のように表せます。
\[H(z)=\frac{1}{1-z^{-1}}\]
Z領域のデジタル積分回路\(Y(z)=X(z)+Y(z)z^{-1}\)の左辺を\(\displaystyle\frac{Y(z)}{X(z)}\)に整理することにより導出できます。
デジタル積分回路の周波数応答は、伝達関数*\(H(z)\)の\(z\)に\(e^{i2\pi\hat{f}}\)を代入した以下です。
\[H(e^{i2\pi\hat{f}})=\frac{1}{1-e^{-i2\pi\hat{f}}}\]
デジタル積分回路の振幅の周波数応答は、\(H(e^{i2\pi\hat{f}})\)の絶対値です。
離散時間信号のサンプリング周波数が48kHzの場合、デジタル積分回路の振幅の周波数応答は、以下になります。
ここで、横軸は周波数の対数スケール、縦軸は振幅倍率を電圧比のデシベルで表したものです。
デジタル積分回路の位相の周波数応答は、\(H(e^{i2\pi\hat{f}})\)の偏角です。
離散時間信号のサンプリング周波数が48kHzの場合、デジタル積分回路の位相の周波数応答は、以下になります。