伝達関数

伝達関数とは、インパルス応答のラプラス変換のことです。

入力信号のラプラス変換の結果と伝達関数を掛けることでs領域でインパルス応答の畳み込みを行えます。

また、伝達関数を使って、システムの周波数応答を調べられます。

伝達関数の求め方(インパルス応答が分かっていない場合)

あるシステムにおいて、入力信号のラプラス変換を\(X(s)\)、出力信号のラプラス変換を\(Y(s)\)とした場合、伝達関数\(H(s)\)は、以下の式で求められます。

\[H(s)=\frac{Y(s)}{X(s)}\]

導出方法

ラプラス変換とフーリエ変換の関係より、ラプラス変換は、フーリエ変換で表現できます。

よって、フーリエ変換によるインパルス応答の畳み込みが可能であり、以下の式が成り立ちます。

\[X(s)H(s)=Y(s)\]

両辺を\(X(s)\)で割ることにより、伝達関数\(H(s)\)を導出できます。

システムの周波数応答の調べ方

あるシステムの伝達関数を\(H(s)\)とした場合、そのシステムの周波数応答は、\(H(\text{Im}(s))\)です。

理由

ラプラス変換とフーリエ変換の関係より、ラプラス変換\(H(s)\)\(s\)の実部を0にすると、\(H(s)\)は、時刻0以上でインパルス応答をフーリエ変換したものと等価です。

よって、インパルス応答の畳み込みによる周波数領域での複素スペクトルの変化より、\(H(\text{Im}(s))\)は、時刻0以上におけるシステムの周波数応答と言えます。

伝達関数の定義にフーリエ変換を使わない理由

伝達関数を定義する際にフーリエ変換ではなく、ラプラス変換を用いる理由は、ラプラス変換がフーリエ変換に比べて扱いやすく、より広範なシステムの振る舞いを解析できるからです。

これは、ラプラス変換には、収束域が存在することによるものです。