デジタルローパスフィルタ

デジタルローパスフィルタ(デジタルLPF)とは、離散時間システムにおいて、入力信号を\(x[n]\)、出力信号を\(y[n]\)\(0\leq A < 1\)とした場合、以下の式で表されるデジタルフィルタのことです。

\[y[n]=(1-A)x[n]+Ay[n-1]\]

減衰率付きデジタル積分回路に\(1-A\)を追加したものです。

デジタルローパスフィルタは、高い周波数成分を減衰させ、低い周波数成分を通過させます。

また、デジタルローパスフィルタは、入力信号\(x[n]\)のZ変換を\(X(z)\)、出力信号\(y[n]\)のZ変換を\(Y(z)\)\(y[n-1]\)のZ変換を\(Y(z)z^{-1}\)とした場合、Z変換の線形性よりZ領域で以下のように表せます。

\[Y(z)=(1-A)X(z)+AY(z)z^{-1}\]

図にすると、以下です。

減衰率付きデジタル積分回路の0Hzの振幅倍率は\(\displaystyle\frac{1}{1-A}\)なので、減衰率付きデジタル積分回路に\(1-A\)の掛け算を追加したデジタルフィルタであるデジタルローパスフィルタの0Hzの振幅倍率は1になります。

デジタルローパスフィルタの伝達関数

デジタルローパスフィルタの伝達関数*\(H(z)\)は、以下のように表せます。

\[H(z)=\frac{1-A}{1-Az^{-1}}\]

導出方法

デジタルローパスフィルタ\(Y(z)=(1-A)X(z)+AY(z)z^{-1}\)の左辺を\(\displaystyle\frac{Y(z)}{X(z)}\)に整理することにより導出できます。

デジタルローパスフィルタの周波数応答

デジタルローパスフィルタの周波数応答は、伝達関数*\(H(z)\)\(z\)\(e^{i2\pi\hat{f}}\)を代入した以下です。

\[H(e^{i2\pi\hat{f}})=\frac{1-A}{1-Ae^{-i2\pi\hat{f}}}\]

振幅の周波数応答

デジタルローパスフィルタの振幅の周波数応答は、\(H(e^{i2\pi\hat{f}})\)の絶対値です。

離散時間信号のサンプリング周波数が48kHz、\(A=0.99\)の場合、デジタルローパスフィルタの振幅の周波数応答は、以下になります。

ここで、横軸は周波数の対数スケール、縦軸は振幅倍率を電圧比のデシベルで表したものです。

位相の周波数応答

デジタルローパスフィルタの位相の周波数応答は、\(H(e^{i2\pi\hat{f}})\)の偏角です。

離散時間信号のサンプリング周波数が48kHz、\(A=0.99\)の場合、デジタルローパスフィルタの位相の周波数応答は、以下になります。