静電誘導とは、帯電した物体を導体に近づけた際に、帯電した物体から受ける静電気力(引力もしくは斥力)によって、導体内の自由電子が導体表面に移動する現象のことです。
例えば、以下は、プラスに帯電した物体を固体の導体に近づけた際の静電誘導の様子です。青色の点は陰イオン、赤色の点は陽イオンです。
プラスに帯電した物体から導体内の自由電子が引力を受けるため、導体の左側に自由電子が集まり、マイナスに帯電します。導体の右側がプラスに帯電するのは、自由電子が全体的に左にシフトして、陽イオンになるためです。
以下は、マイナスに帯電した物体を固体の導体に近づけた際の静電誘導の様子です。
マイナスに帯電した物体から導体内の自由電子が斥力を受けるため、導体の左側から自由電子が外れて陽イオンとなり、導体の左側がプラスに帯電します。導体の右側がマイナスに帯電するのは、自由電子が全体的に右にシフトして、陰イオンになるためです。
静電誘導による自由電子の移動が完了したときの導体内部の電場の強さは0です。別の表現をすると、導体内部の電場の強さが0になるまで自由電子は移動します。
例えば、以下は、静電誘導による自由電子の移動が完了した状態です。
プラスに帯電した物体の一様な電場の向きと、導体内の一様な電場の向きは逆で、電場の強さは同じなので打ち消し合い、導体内部の電場の強さは0になります。