任意の正方行列\(A\)の固有ベクトルの求め方を説明します。
まず、固有方程式を解いて、正方行列\(A\)の固有値\(\lambda \)を求めます。
正方行列\(A\)の固有ベクトルを\(\boldsymbol{v}\)とした場合、以下が成り立ちます。
\[A\boldsymbol{v}=\lambda\boldsymbol{v}\]
単位行列の性質を利用して、以下のように変形します。
\[A\boldsymbol{v}=\lambda I \boldsymbol{v}\]
次に、以下のように変形します。右辺は、ゼロベクトルです。
\[(A-\lambda I)\boldsymbol{v}=\boldsymbol{0}\]
\(\boldsymbol{v}\)がn次元ベクトルであれば、上記の式は、\(n\)個の方程式を持った連立1次方程式と言えます。
この連立1次方程式を解くことで固有ベクトルを求められます。
例えば、正方行列\(A=\begin{pmatrix} 2 & 1 \\ 1 & 2 \\ \end{pmatrix}\)の固有ベクトル\(\boldsymbol{v}=\begin{pmatrix} v_1 \\ v_2 \end{pmatrix}\)を求めてみます。
固有方程式を解くと、この正方行列の固有値は、1と3であることが分かります。
固有値\(\lambda=1\)を\((A-\lambda I)\boldsymbol{v}=\boldsymbol{0}\)に代入すると、以下の式が得られます。
\[\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 1 & 1 \\ \end{pmatrix}\begin{pmatrix} v_1 \\ v_2 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix}\]
これは、以下の連立1次方程式を意味します。
\[\left\{\begin{matrix} \ v_1+v_2=0 \\ \ v_1+v_2=0 \end{matrix}\right.\]
二つの1次方程式は同じなので、\(v_1+v_2=0\)の関係を満たすベクトル\(\boldsymbol{v}=\begin{pmatrix} v_1 \\ v_2 \end{pmatrix}\)が固有ベクトルとなります。例えば、\(v_1=1\)とした場合、\(v_2=-1\)となり、\(\boldsymbol{v}=\begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix}\)は、固有ベクトルの一つです。
一方、もう一つの固有値\(\lambda=3\)を\((A-\lambda I)\boldsymbol{v}=\boldsymbol{0}\)に代入すると、以下の式が得られます。
\[\begin{pmatrix} -1 & 1 \\ 1 & -1 \\ \end{pmatrix}\begin{pmatrix} v_1 \\ v_2 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix}\]
これは、以下の連立1次方程式を意味します。
\[\left\{\begin{matrix} \ -v_1+v_2=0 \\ \ v_1-v_2=0 \end{matrix}\right.\]
よって、\(v_1=v_2\)の関係を満たすベクトル\(\boldsymbol{v}=\begin{pmatrix} v_1 \\ v_2 \end{pmatrix}\)が固有ベクトルとなります。例えば、\(v_1=1\)とした場合、\(v_2=1\)となり、\(\boldsymbol{v}=\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}\)は、固有ベクトルの一つです。
実際に、\(\begin{pmatrix} 2 & 1 \\ 1 & 2 \\ \end{pmatrix}\)の固有ベクトルを含む以下の24個のベクトルに対して、\(\begin{pmatrix} 2 & 1 \\ 1 & 2 \\ \end{pmatrix}\)で線形変換を行なってみます。ベクトルの先端が円の形になっているときは、線形変換前です。青のベクトルが固有値が1の場合の固有ベクトルで、赤のベクトルが固有値が3の場合の固有ベクトルです。
まず、固有ベクトルだけ向きが変わっていないことが分かります。そして、青の固有ベクトルは固有値が1なのでベクトルの大きさが変わらず、赤の固有ベクトルは固有値が3なのでベクトルの大きさが3倍されていることが分かります。